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ふるさと納税、利用されてますか?


ふるさと納税

「ふるさと納税」は、人口減少や過疎により税収が減少した地域と、都市部との格差を是正することを目的とした制度で、2008年5月にスタートしました。

昨年度には、寄附金額は1兆1175億円、約1,000万人が利用する制度となっています(住民税を納めている人は全国でおよそ6,000万人で、6人に1人がふるさと納税を利用したことになります)。

なお、寄附先の自治体は、納税者のふるさとに限定されていないため、自分の好きな自治体に寄附ができます。

年末の駆け込みでふるさと納税を考えている方も多いと思います。上手く使えばお得な制度なので、是非使ってみてはいかがでしょうか。


1.ふるさと納税とは

 自分で選んだ自治体に寄附をした場合、寄附額のうち2,000円を超える部分が所得税と住民税から控除される制度です。応援したい自治体や進学、就職などでお世話になった自治体など、どの自治体でも対象となり寄附をすることができます。少し乱暴な言い方ですが、お好きな返礼品がある自治体でも良いということです。実情は大半が返礼品目的ではないでしょうか。また、2,000円支払えば2,000円以上の返礼品がもらえるという制度でもあります。

 しかしながら、制度には本来の趣旨がありますので、下記の「ふるさと納税の理念」をご一読ください。

ふるさと納税の理念

ふるさと納税の理念

出所:総務省「ふるさと納税ポータルサイト」


2.ふるさと納税の控除額は?

 ふるさと納税をした金額のうち2,000円を超える部分については、次のとおり一定の上限まで所得税・個人住民税から全額控除されます。

❶所得税からの控除=(ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」

❷住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税額-2,000円)×10%

❸住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)

控除イメージ(ふるさと納税)

出所:総務省「ふるさと納税ポータルサイト」

 上記の図から2,000円をこえる部分については全額控除されることがおわかりになると思います。

 しかし、一定の上限はいくらなの?ということが重要ですよね。そこで民間のふるさと納税ポータルサイトの控除額シュミレーションがお役にたちます。

 次のポータルサイト内(ここでは4社のみですが他にもサイトはあります)の控除額シュミレーションで、前年度の源泉徴収票や確定申告書を見ながら打ち込むと上限額が算出されます。

【4サイトの控除額シュミレーション】

参考:さとふるのシュミレーション画面です

ふるさと納税詳細シュミレーション(さとふる)
ふるさと納税詳細シュミレーション(さとふる)

 上限額がわかれば、あとはお好きなポータルサイトで返礼品を選んでいくだけです。


3.寄附金控除を受けるためには

 控除を受けるためには、ふるさと納税をした翌年の3月15日までに、住所地等の所轄の税務署へ確定申告を行う必要があります。

 確定申告を行う際には、寄附をした自治体が発行する寄附の証明書・受領書や、専用振込用紙の払込控(受領書)が必要となります。

 確定申告を行うと、控除額の計算に沿って所得税と住民税の控除額がそれぞれ決まり、所得税分はその年の所得税から控除(還付)され、住民税分は翌年度の住民税から控除(住民税の減額)されます。

ふるさと納税の手続(原則)
出所:総務省「ふるさと納税ポータルサイト」

 しかし、確定申告が不要な給与所得者については、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内の場合に限り、ふるさと納税を行う際にあらかじめその自治体に申請することにより確定申告が不要となる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が利用できます。

 特例の申請にはふるさと納税先の自治体数が5団体以内で、ふるさと納税を行う際に各ふるさと納税先の自治体に特例の適用に関する申請書を提出する必要があります。

 ふるさと納税ワンストップ特例の適用を受ける方は、所得税からの控除は発生せず、ふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払う住民税の減額という形で控除が行われます。

※給与等の収入金額が2,000万円以下である給与所得者が、1か所から給与等の支払を受けており、その給与について源泉

 徴収や年末調整が行われる場合において、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下であるときは、

 原則として確定申告を要しないこととされています。

ふるさと納税ワンストップ特例が適用される場合
出所:総務省「ふるさと納税ポータルサイト」

4.最後に

 ふるさと納税は、創設から16年で寄附額は飛躍的に増加しましたが、ふるさと納税の認知度が高まるにつれて問題となったのが自治体間の返礼品競争です。現在は、返礼品の調達費用は寄附金額の3割以下、送料や広報費用などの費用も含めた経費、寄附金の受領証の発行・発送費用、ふるさと納税ワンストップ特例制度の事務費用など、ふるさと納税の募集だけでなく、ふるさと納税にかかったすべてを含めて寄附金額の5割以下となりました。

 とは言え、例えば50,000円を寄附し、自治体の調達費用が3割と考えれば、2,000円で15,000円相当の返礼品が送られてくるということになります。まだまだお得な制度と言えるのではないでしょうか。

 デメリットとしましては、年間に分散して寄附をしていれば良いのですが、年末の駆け込みで上限額いっぱいに使おうとすると、その月の支出が多くなるところです。しかし、年末は賞与や年末調整の時期でもあるため利用しやすいかもしれませんね。


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