今年は、2月に北陸での大雪「平成30年豪雪」、6月に「大阪府北部地震」、7月に「平成30年7月豪雨」と大きな災害がございましたが、被害を受けられた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。また、1日も早い平穏と復興を心よりお祈り申し上げます。
また、災害などに遭ったときの税金面からの救済措置として、「雑損控除」と「災害減免法」による税の軽減が設けられていますので該当する方は是非この制度をご利用ください。
雑損控除と災害減免法
雑損控除は、災害、盗難、横領などによって、生活に必要な資産に損害が出た場合に、それに応じた金額が控除されるものです。これに対して、災害減免法は、地震、風水害、火災などの災害に限られます。
雑損控除は所得控除、災害減免法は税額控除と控除の仕方が異なります。また、雑損控除と災害減免法の両方を適用することはできません。年間所得1,000万円以下の場合、いずれか有利なほうを選択することになります。
雑損控除
納税者本人、あるいは本人と同一生計の配偶者や親族(その年の総所得金額等が38万円以下の者)の所有する生活に通常必要な住宅、家具、衣類などの資産(事業用資産や別荘、書画、骨とう、貴金属等で1個または1組の価額が30万円を超えるものなどは除く)を、災害または盗難もしくは横領によって損害を受けた場合等は、確定申告により所得税等の雑損控除を受けることができます。詳しくは下記をご覧ください。
1.雑損控除の対象になる資産の用件
損害を受けた資産が次のいずれにも当てはまること。
●資産の所有者が次のいずれかであること
①納税者
②その年の総所得金額等が38万円以下で、納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族
●生活に通常必要な住宅、家具、衣類などの資産であること
2.損害の原因
次のいずれかの場合に限られる。
●震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
●火災、火薬等の爆発など人為による異常な災害
●盗難
●横領(詐欺や脅迫は対象外)
(注) 盗難・横領による損害については、災害減免法は適用されません
3.雑損控除として控除できる金額
次の2つのうちいずれか多い方の金額
①(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
②(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以降(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。
4.差引損失額の計算の仕方
差引損失額=損害金額(※1)+災害関連支出の金額(※2)-保険金などにより補填される金額(※3)
※1 「損害金額」とは、損害を受けたときの直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害額(※4)
※2 「災害関連支出の金額」とは、災害により滅失した住宅、家財などを取り壊しまたは除去するために支出し
た金額など
※3 「保険金などにより補填される金額」とは、災害などに関して受け取った保険金や損害賠償金などの金額
※4 損害を受けた資産が減価償却資産である場合は、その資産の取得価額から減価償却累計額相当額を控除した
金額を基礎として損害金額を計算することができます
5.雑損控除を受けるための手続き
控除に関する明細書を付けて、雑損控除に関する事項を記載した確定申告書を提出します。
また、災害等に関連して支払ったやむを得ない支出がある場合には、その領収書を添付するか、提示します。
災害減免法
災害により住宅や家財に損害を受けたときは、災害減免法により所得税が軽減免除されます。災害のあった年分の所得金額が1,000万円以下で、震災、風水害、火災等の災害によって受けた損害額が住宅または家財の1/2以上で、かつ、雑損控除の適用を受けない場合は、所得金額に応じて所得税額が軽減免除されます。
この場合の損害を受けた住宅または家財には、別荘や貴金属類、書画、骨とう、美術工芸品等で1個または1組の価額が30万円を超えるものは含まれない。
所得税の軽減割合は、以下の表のとおりです。また、会社員が災害減免法により源泉所得税の徴収猶予または還付を受けた場合は年末調整されませんので、確定申告により所得税を精算します。
【軽減される所得税】
その年の合計所得金額 | 軽減されるその年の所得税額 |
500万円以下 | 全額免除 |
500万円超750万円以下 | 1/2 |
750万円超1,000万円以下 | 1/4 |
1,000万円超 | なし |
災害により被災した場合は、雑損控除と災害減免法のいずれかの適用により、所得税が減免されます。いずれを選択した方がよいかは、損害額や所得により異なりますので実際の計算が必要となります。
また、相続税や贈与税についても減免措置があり、住民税や固定資産税などの地方税も自治体により減免措置がとられますので、よくご確認ください。
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