平成29年度税制改正の概要(法人課税)

 今回は、「平成29年度税制改正大綱」のうち、「個人所得課税」「資産課税」「法人課税」「消費課税」「国際課税」といった個人や中小企業に対して影響を与えるものについてピックアップして、本日は「法人課税」を掲載します。


- 法人課税 -


試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除の拡充

1.試験研究費の総額に係る税額控除制度について、税額控除率(以前は試験研究費割合に応じ8%~1

  0%)が試験研究費の増減割合に応じた率(原則6%~10%、ただし2年間の時限措置として上限

  14%)に変更になります。

 

2.試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合、税額控除率を試験研究費の対売上割合に応じ

  た率とする制度が2年延長される一方、試験研究費の増加額に係る税額控除の制度が廃止されます。

 

3.試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合、「2」の適用に代えて、試験研究費の総額に

  係る控除税額の上限(法人税額25%)に上乗せする制度を選択することができます(2年間の時限

  措置)。

 

4.試験研究費の範囲について、ビッグデータの収集分析等の試験研究費が追加されました。

 

5.オープンイノベーション型の特別試験研究費について費用の限定が廃止され、手続きの見直しにより

  使い勝手が向上します。

 

 ■平成29年4月1日以後に開始する事業年度から適用


賃上げを促すための所得拡大促進税制の見直し

 中小企業者等以外の法人の税額控除について、平均給与等支給額が前事業年度を超えることとの要件から前事業年度比2%以上であることとの要件に見直されるとともに、控除税額が、雇用者給与等支給増加額の10%と増加額のうち雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額の2%(中小企業者等は12%)との合計額になります。

 地方税の付加価値割の課税標準額からの控除においても同様の見直しとなります。


役員給与等の損金算入要件の見直し

1.利益連動給与の算定指標の範囲について、株式の市場価値の状況を示す指標および売上高の状況を示

  す指標が加わるとともに、複数年度の指標を用いることが可能となり、損金算入できる範囲が拡大す

  ることとなります。また、これらの業績連動指標を基礎として算定される株式報酬の場合には、株数

  で上限を定めることも可能となります。

 

2.利益連動給与の対象に、業績連動指標を基礎として算定される数の新株予約権を交付する給与で確定

  した数を限度とするものと、業績連動指標を基礎として行使できる数が算定される新株予約権による

  給与が加わります。

 

3.事前確定届出給与について、所定の時期に確定した数の株式、新株予約権が対象に加えられます。な

  お、これらは役務の提供を受ける法人またはその法人の発行済株式の50%超を直接もしくは間接に

  保有する法人が発行したものに限ります。また、利益その他の指標を基礎として譲渡制限が解除され

  る数が算定される譲渡制限付株式は、事前確定届出給与から除外されます。

 

 ■退職給付・譲渡制限付株式・新株予約権に係る部分は平成29年10月1日以後、

  その他の部分は平成29年4月1日以後に支給または交付に係る決議をする給与に適用


中小企業向け設備投資促進税制の拡充・延長

1.中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却等)について、中小企業経営

  強化税制として改組され、経営力向上計画の認定を受けた一定の機械装置、工具、器具備品、建物附

  属設備およびソフトウェアについて、即時償却または取得価額の7%(特定中小企業者等は10%)

  の税額控除との選択適用が可能です。

   注)「一定の機械装置、工具、器具備品、建物附属設備およびソフトウェア」とは、販売開始から一定年

     数(機械装置10年、工具5年、器具備品6年、建物附属設備14年、ソフトウェア5年)以内のもの

     で、モデル比で生産効率等が年平均1%以上向上するものをいいます。また、その取得価額が一

     定規模(機械装置160万円、工具・器具備品30万円、建物附属設備60万円、ソフトウェア70万

     円)以上のものが対象となります。

 

2.中小企業投資促進税制について、上記「1」のほか、対象資産から器具備品を除いたうえで、その適

  用期限が2年延長されます。(以前の適用期限は平成29年3月31日)

 

 ■「2」平成31年3月31日までの取得に適用


中小企業者等に対する軽減税率の延長

 年800万円以下の所得金額に対する法人税率を15%とする時限的措置が2年延長されます。(以前の適用期限は平成29年3月31日)

 

 ■平成31年3月31日までに終了する事業年度に適用


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