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共有について


 数人が共同して1個の財産を所有し、共同所有者の間で権利の割合だけが定められているという場合に、そのような所有関係を共有といいます。

 共有は、数人で出資して1筆の土地を買ったときや、父母の財産を数人の子が相続したとき等に生じます。

例-近江太郎の土地建物を子3名で相続した場合
登記事項証明書-甲区欄
登記事項証明書
1-共有物に対する権利

 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます。共有者は持分に応じて共有物の一部を使用するのではなく、その全部について使用する機能を有しています。

 例えば、近江太郎さんから相続を受けた各共有者(一郎、二郎、三郎)は、面積の3分の1ではなく全体を使用することができます。但し、共有の性質上、使用は相互に制約され、実際には使用方法は共有者の協議によって決定されます。

 また、共有者ができる行為については下記をご参照ください。

共有者ができる行為
保存行為-管理行為-処分行為

その他にも「妨害排除請求」は単独で請求できます。「妨害排除請求」とは、共有不動産について実体と異なる不実の持分移転登記がなさ

  れているような場合に、その登記により共有不動産に対する妨害状態が生じていることから、実体の権利を有していないのに持分移転登記を

  経由している者に対し、その持分移転登記の抹消を請求することです。

2-共有物の分割請求

 各共有者は、いつでも共有物の分割請求ができます。但し、5年を超えない期間分割禁止契約をすることができ、5年を超えない期間更新ができます。分割禁止契約は登記をしておかないと特定承継人(※)には対抗できませんのでご注意ください。

 分割の方法は、共有者全員の協議が調えばどんな方法でもよいのですが、共有者間で分割の協議が調わない場合は、裁判所に対して分割を請求することができます。

 分割の方法としましては、現物分割(共有物自体を分割する方法)、代金分割(共有物を売却して、その売却代金を持分に応じて分配する方法)、価格賠償(共有物を共有者の一人が単独所有し、他の共有者に持分に応じて価格を賠償する方法)があります。

 裁判所による分割の場合は現物分割が原則ではありますが、共有物を共有者のうち特定のひとりが取得するのが相当と認められ、かつ、価格が適正に評価され、共有物を取得する者に支払能力があるなど、持分価格の賠償でも共有者間の実質的公平を害さないのであれば、価格賠償も許されるなど、柔軟な分割方法を認めています。

※特定承継人:売買や競売により所有権を取得した者


 共有者の1人が死亡するとその持分は相続人に帰属しますが、相続人がいない場合には、他の共有者に帰属します。但し、死亡者の特別縁故者が分与を請求したときは、それが優先されます。

 いずれにせよ、共有は行為の制約や、相続により細分化されていくリスクもありますので、共有を解消できるのであれば、早めに処理をしておいた方がよいと思われます。


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