彦根城博物館 開館30周年記念特別展
彦根城博物館では、開館30周年記念特別展として、
「コレクター大名井伊直亮-知られざる大コレクションの全貌-」が開催されています。
期間
平成28年(2016年)10月28日(金)~11月27日(日)
8:30 ~17:00まで(※入場は16:30まで)
※会期中無休
場所
彦根城博物館 展示室1~3
観覧料
大人:500円(450円) 小・中学生:250円(170円)
( )内は30名以上の団体割引料金
※常設展「“ほんもの”との出会い」も併せてご覧いただけます。
彦根藩井伊家12代の井伊直亮(いいなおあき)(1794~1850)は、井伊家11代直中(なおなか)の三男として誕生しました。12歳で世子となり、文化9年(1812)に19歳で家督を継ぎ、嘉永3年(1850)で没するまで、38年の長きにわたって藩主をつとめました。その人生は、質量ともに極めて充実した、多彩なコレクションで彩られたものでした。
現存する直亮のコレクションの随一は雅楽器です。その数は260点余り、関連資料や楽譜などを含めると600点以上の多数にのぼり、日本有数の楽器コレクションとして知られています。楽器を収集するだけでなく、雅楽を家業とする公家や楽所(がくそ)の楽人(がくにん)から雅楽を習って自ら演奏し、家臣にも習わせて管弦の会も催しています。ほかにも、刀剣や甲冑、更紗(さらさ)、書画、典籍、文房具、博物学関連資料、時計や計測器、ピストルなどの南蛮渡来品等、その収集対象は幅広く、現存する井伊家伝来品の中で見るべきものを挙げていくと、実はこの直亮の収集品であったということが少なくありません。近年、国宝に指定されている彦根屏風も彼の収集であることが判明しました。
直亮のコレクションの大きな特色は、寸法や附属品、入手先、附属文書の文言、金額等、詳細を記した道具帳を自ら作成している点です。これに加え、作品の箱書や書付を自身で記す例も少なくなく、これらから、直亮の収集の具体的な様子を明らかにすることができるのです。そして、先代から引き継いだ道具類も悉く実見し、記録し、その筋の専門家に見せて鑑定をさせています。
直亮は、道具や書物のコレクションに集中していたのではなく、自分を取り巻く文化的環境全てに意を払った人でした。雅楽や舞楽、能楽を楽しむのは勿論のこと、品評会で高位となった美しい鳥の声を聞き、江戸の名料亭・八百善(やおぜん)の料理人を国元で雇ってその料理を食し、琵琶湖の内湖に建立した浮御堂(うきみどう)と植林させた桜を満喫する遊覧を行い、民間の窯を買い上げて藩直営として好みの焼き物を作らせています。
自分の審美眼でもって物を収集し、新たに生み出させ、意に叶ったものだけに囲まれて生きていく-直亮は、現代にも通じる、個人としての感覚を極めて強く持ち併せていたタイプの人物と言ってよいでしょう。それだからこそ、その美意識の有りようも現代の我々の心に強く響くものがあります。
本展は、井伊直亮のコレクションを中心に、同時代の大名のコレクションも併せて紹介し、大名のコレクションの特質を考え、さらには、当時のコレクションの意味を探ることにより、時代の空気を読み解こうとするものです。
*年齢はすべて数え年です。
<彦根城博物館HPより抜粋>
関連イベントのご紹介
シンポジウム「江戸時代のコレクター大名~個性派大名の饗宴~」
日 時:平成28年11月19日(土) 午後1時30分~4時15分
会 場:当館 能舞台見所
定 員:120名
パネリスト:久家 孝史 氏(松浦史料博物館学芸員)
山下 奈津子 氏(和歌山市立博物館学芸員)
髙木 文恵(当館学芸員)
受講料:500円
申込法:当日受付(先着順)
風俗図(彦根屏風)・笙・大小拵・茶碗・茶入・具足と、多岐にわたるコレクションが展示されています。近年、国宝に指定されている彦根屏風も井伊直亮の収集であることが判明したそうです。
展示されているさまざまなコレクションを見ることで、その時代の文化や環境を感じることができるかもしれませんね。