長年土地を保有されている方(祖父の代から等)が、「土地を売却したい、利用したい」という時に時々あるのが、実際に土地の上には建物が無いのにもかかわらず、登記上は建物の記載があるということがあります。ご相談者の方から話を聞くと、過去に尊属の方(祖父や父)がその土地に建物を建てていて、使用しなくなったために解体工事は実施したが、建物滅失登記を法務局に申請(つまり、『建物がなくなりました』という申請)をしていなかったということです。理由は様々あるかもしれませんが、今後の売却や土地利用にも支障がありますので、滅失登記は必ず必要になります。
不動産登記法では、家屋を解体したら1ヵ月以内に建物滅失登記を申請しなければならない。また、登記の申請を怠った場合には、10万円以下の過料に処されるとなっております。
①その土地の売却
②その土地に新たに建物を建てる場合
③その土地を担保に金融機関から融資を受ける場合
※①、②は滅失登記を怠っていたために、建物を建てた場合に、新築建物の登記ができません
建物滅失登記は、建物所有者が申請人となりますので、登記事項証明書の所有者が既に亡くなっていたりすると、滅失登記するにも亡くなった方の戸籍謄本や除籍謄本などの必要書類が増えます。
①解体者押印済(実印)の取壊証明書
②解体者の印鑑証明書
③資格証明情報(代表者事項証明書、履歴事項全部証明書 等)・・・解体者が法人の場合
今、面倒な事でも、しっかりと正しい状態にしておけば、後々、お子様やお孫様が大事な土地をどう利用するかという時に困らない状態にしておくことができます。また、反対にほったらかしのままだと、お子様やお孫様が困る事態になりかねません。今回の滅失登記だけでなく、登記というものを正しい状態にしておくことは大事ではないでしょうか。
目次に戻る