不動産の譲渡に関する税金
一般の土地や建物の譲渡については、譲渡損失があっても、土地・建物等の譲渡以外の所得との通算や、次年度以降への繰越控除はできません。しかし、一定の要件を満たした居住用財産については、譲渡損失をほかの所得から控除でき、また繰越控除ができる特例があります。
譲渡の年の1月1日現在、所有期間5年超の居住用財産を譲渡して損失が発生したときは、償還期間10年以上の住宅借入金等があるなど一定の要件のもとに、その損失の金額について損益通算を行うことができます。
さらに、損益通算をしても控除しきれない損失については、翌年以降3年間、繰越控除が認められています。ただし、合計所得金額が3,000万円以下の年に限られます。
① 譲渡した年の1月1日における所有期間が家屋とその敷地とも5年超であること。
② 個人が居住の用に供している家屋とその敷地であること。
③ 譲渡の契約を締結した日の前日に、その資産について償還期間10年以上の住宅借入金等(住宅ロー
ン)が残っていること。
④ 繰越控除をしない年も含めて毎年、確定申告を行うこと。
⑤ 繰越控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下であること。
⑥ 譲渡した年の前年または前々年において、ほかの資産の譲渡で3,000万円特別控除や買換え特例の
適用を受けていないこと。
⑦ 損益通算の特例を受けて損益通算しようとする年の前年以前3年内において生じたほかの特定居住用財
産の譲渡損失の金額について、この損益通算の規定の適用を受けていいないこと。
⑧ 譲渡した年またはその年の前年以前3年内において、資産の譲渡について、居住用財産の買換え等の譲
渡損失の損益通算の特例の適用をうけていないこと。
⑨ 特別の関係(配偶者や親子等)にある人への譲渡でないこと
この特例の対象となる譲渡損失の金額は、次により計算します。
① 居住用財産の譲渡損失の金額
② 住宅借入金等の残高 - 譲渡対価 = 残存住宅ローンの額
③ ①と②のいずれか少ない方の金額
① 特例の対象となる譲渡損失の金額
A) 居住用財産の譲渡損失の金額 1,500万円
B) 譲渡対価を超える住宅ローン残高(残存住宅ローンの額)
3,000万円 - 2,000万円 = 1,000万円
C) A) と B)のいずれか少ない方の金額 1,000万円
② 損益計算
600万円 - 1,000万円 = △400万円(繰越額)
(注)控除しきれなかった損失400万円は、翌年以後3年間に繰り越すことができるので、翌年の給与所得などから控
除することができます。
なお、この特例は、買換えを要件としていませんので、賃貸住宅等に住み替える場合も対象となります。
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